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角膜・結膜の病気

Corneal disease

流行性角結膜炎

■ 流行性角結膜炎とは

一般的に『はやり目』と呼ばれ、アデノウイルスという強い伝染力を持つウイルスによっておこる結膜炎です。
アレルギーによる結膜炎とは違い、充血や目やになどの症状が非常に強く、角膜にも炎症が及んで視力障害が起きることもあります。
ウィルスによって集団的に発生することもあり、予防が大切です。

■ 症状と経過

潜伏期間といって、ウィルスに感染してから症状がでるまで1週間から10日間あり、その間はまったく症状がありませんが、急に充血や目やに、まぶたの腫れなどの症状が強くあらわれます。
片方の目に発症して数日後にもう片方の目にも症状がでたり、耳の前や顎の下のリンパ節腫れることがあり、1週間前後で症状がピークをむかえて2~3週間かけて徐々に症状が軽減します。
また、子どもや症状が強い人の場合、まぶたの裏の結膜に偽膜という白い膜ができ、眼球の結膜に癒着をおこすことがあります。

■ 流行性角結膜炎の治療

二次感染を予防する抗菌剤や、炎症を和らげるステロイド剤を点眼しますが、この病気に有効な点眼薬はありません。
ウィルスに対する抵抗力を高めるため、休養を十分にとって体力をおとさないことが必要です。

■ 後遺症と合併症

結膜炎の症状がおさまってきた頃に、角膜の表面に点状の濁りが出ることがあります。
症状がないからといって治療を止めてしまうと、角膜の濁りが残り視力が低下してしまうこともあるため、医師の許可があるまで治療を継続しましょう。

■ 注意すること

1~2週間は他人へ感染する恐れがあります。周囲の人にうつさないように気をつけましょう。

・手を石鹸や流水でよく洗う
・休養をとって体力をおとさない
・学校などは医師の許可があるまで休む
・人ごみへ出かけない
・医師の許可があるまでプールに入らない
・タオルや洗面用具などは家族と別にする

アレルギー性結膜炎

■ アレルギー性結膜炎とは

アレルギーとは、外から入ってくる異物に対して体が過剰に反応することで起こります。
目のアレルギーを起こす原因物質としては、花粉やハウスダスト(ダニやカビ)、動物の毛やフケなどのほか、人によってはコンタクトレンズ洗浄剤が原因になることもあります。
程度には個人差があり、一時的なこともあれば長期間続く場合もあります。

■ アレルギー性結膜炎の種類

・花粉症
花粉によるアレルギーで、春先に多いスギ、秋に多いブタクサなどが有名です。毎年決まった季節に症状がみられることが特徴です。

・ハウスダストによるアレルギー性結膜炎
ハウスダストによる結膜炎で、花粉と異なり常に身の回りにあるダニやカビ、ホコリなどが原因になります。一年を通して症状が慢性的にみられるのが特徴です。

・春季カタル
アレルギー性結膜炎が慢性的に、かつ症状が重症的に起こります。ハウスダストが原因となっていることが多く、目のかゆみが非常に強いうえ角膜に無数の小さな傷ができることがあります。

■ アレルギーの予防

花粉症の場合は、症状が出現する季節にできるだけ花粉と接しないようすることが重要です。
花粉が飛びやすい日は外出を避けたり、帰宅したときには服についた花粉を十分に落とすようにしましょう。
ハウスダストの場合は、部屋の清潔を心掛けたり、寝具を干したりするのも効果的です。
また、動物を屋内で飼うことは避けたほうがよいでしょう。

球結膜下出血

■ 球結膜下出血とは

結膜下出血とは、結膜下の小さい血管が破れて出血したもので、結膜の下に出血が広がり白目部分が赤く染まります。
突然、目が真っ赤になり、驚いて眼科を受診する方が多い病気です。

■ 球結膜下出血の原因

原因はさまざまで、以下の3つに分けられます。
・眼局所の要因
 目をぶつけた、強くこすったなどの外的要因や、目の手術後、急性結膜炎などによって起こります。
・全身性疾患
 動脈硬化や高血圧、糖尿病、貧血や白血病、腎炎などに伴って起こります。
・原因不明のもの
 くしゃみやせき、過飲酒、月経、水中メガネのしめすぎなどによって起こることもあります。

■ 結膜下出血の症状と経過

小さな点状のものから結膜全体をおおう広範なもの、血腫をつくるものなどさまざまです。
多少、目がごろごろしますが痛みなどはなく、視力低下の原因になることもありません。
出血は1~2週間ほどで自然に吸収されることが多いですが、症状が強いものでは2~3ケ月ぐらいかかることもあります。

■ 気をつけたい結膜下出血

・外傷をうけた場合
・痛みや痒み、目やにを伴う場合
・ひんぱんに繰り返す場合
・熱を伴う場合
多くの場合、結膜下出血は放置しておいても構いませんが、重大な病気が原因で起こることもあります。

翼状片

■ 翼状片とは

翼状片とは、白目の表面を覆っている半透明の膜(球結膜)が、目頭の方から角膜の中心部に向かって三角形状に入り込んでくる病気で、しばしば両目に起こります。

■ 原因と症状

原因は不明ですが、加齢とともに増加する傾向があり、海辺や高地などの紫外線の強い地域に住む人に多く見られることから、紫外線が関係しているといわれています。
進行には個人差があり、初期には異物感や充血を伴う程度ですが、進行すると角膜のゆがみが強くなるために乱視が現れて視力が低下します。

■ 翼状片の治療

進入してきた球結膜組織が小さいうちは問題ありませんが、充血の症状が強い場合は点眼による治療を行います。
角膜中央付近まで進行してしまうと、視力の低下が著しくなるほか、手術後の視力も不良になるため、手術の適応となります。
翼状片は悪性の組織ではなく、症状がなければ経過観察だけで問題ありませんが、手術を行っても再発することが多く、再手術を行うこともあります。
どの場合も、角膜の中央まで進行してしまわないように経過観察が必要です。

角膜ヘルペス

■ 角膜ヘルペスとは

単純ヘルペスというウイルスの一種が感染することによって起こる病気で、眼の痛みや充血、視力低下などの症状を生じます。
ほとんどの場合は片方の目だけに起こり、角膜の表面に特徴のある枝のような潰瘍を形成するため、樹枝状潰瘍と呼ばれています。

■ 感染と再発

ヘルペスウイルスの感染は、ほとんどの人が子どもの頃に感染しています。
感染したウイルスは、目を支配する神経節に住みつきます。この状態を潜伏感染といい、多くの人はこの状態のままです。
ところが体調不良やストレス、過労などがきっかけで体の抵抗力が落ち、ウイルスが活性化すると、神経節から角膜に分布している三叉神経を伝って角膜で増殖して角膜ヘルペスが起きます。
潜伏感染は神経のなかに潜んでいき続けるために、治療により症状が改善しても、また再度病気を繰り返してしまうことがしばしばあります。

角膜炎

■ 角膜炎とは

角膜炎は、さまざまな原因によって角膜に炎症や潰瘍が生じる病気です。
角膜の炎症や角膜潰瘍が進行すると、視力が障害されることもあります。
痛みが続くような場合は、放置せず早く治療することが大切です。

■ 主な症状

ゴロゴロ感や痛み、充血、涙目などの症状がみられ、炎症や角膜潰瘍が進行すると角膜が白くにごって視力が低下することもあります。
角膜潰瘍は、治癒しても瘢痕(傷あと)が残るほか、その角膜に病原性を持った微生物が付着し、角膜感染症を引き起こすこともあります。

■ 角膜感染症とは

角膜感染症とは、細菌やカビ(真菌)、アカントアメーバ、ウイルスなどの病原体が角膜に感染し、炎症を起こしている状態です。
角膜の表面は角膜上皮と涙によって守られていますが、何らかの原因で角膜上皮を越えて角膜実質の中に入り込むと角膜感染症が生じます。

■ 角膜感染症の原因

・細菌性角膜炎 細菌によって起こる角膜炎で、ゴミや砂などの異物が目に入ったり、コンタクトレンズの装用で角膜にキズがついた時などに起こります。

・真菌性角膜炎
カビ(真菌)によって起こる角膜炎で、植物などによる外傷、ソフトコンタクトレンズの連続装用などにより起こります。細菌性の角膜炎に比べ、症状が出るまで日数がかかります。

・アカントアメーバ角膜炎
池や沼などの淡水に分布するアカントアメーバという微生物によって起こる角膜炎です。ソフトコンタクトレンズの装用者に起こることが多く、日常の手入れが不適切である場合がほとんどです。

・ヘルペス性角膜炎
ヘルペスウイルスと呼ばれるウイルスが原因で起こる角膜感染症です。いったん完治しても体調不良などにより再発することが多くあり、再発を繰り返すと角膜が白く濁って視力低下を起こすこともあります。

円錐角膜

■ 円錐角膜とは

円錐角膜は、角膜の中央が薄くなり前方へ突出してくる病気です。
これにより角膜が変形してしまい、円錐状に突出した角膜を通して物を見るため、見え方が歪み視力が低下してしまいます。 個人差はありますが、多くの場合10代後半から20代前半に両眼とも発症し、徐々に進行して30歳頃には進行が止まると言われています。
視力が大きく変化するため、眼鏡やコンタクトレンズの度数を頻繁に変更する必要があります。
視力矯正には眼鏡よりコンタクトレンズが適していますが、角膜の突出の度合いがひどくなるとコンタクトレンズを装着しても視力矯正ができにくくなる場合があります。

■ 原因と症状

円錐角膜の原因はまだわかっていませんが、アトピーなどアレルギーの傾向にある人が多いといわれています。また、目をこすることもよくないようです。
初期には光が眩しく感じたり見え方に軽い変化がおこるだけですが、進行して角膜の突出が強くなると見え方に歪みが生じてきます。
左右で進行の程度に差があることが多く、片眼のみ円錐角膜ということもあります。
当院では角膜形状解析装置を用いて、円錐角膜の進行の有無をチェックしています。

■ 円錐角膜の視力矯正

多くの場合ハードコンタクトレンズの装用で視力を維持することができます。
初期の場合は眼鏡やソフトコンタクトレンズでも良好な矯正視力が得られることもありますが、中期にはハードコンタクトレンズの装用が必要になり、さらに進行すると特別なデザインのハードコンタクトレンズを装用しないと良好な視力が得られなくなります。
コンタクトレンズが良好に装用できれば、年に数回コンタクトレンズや角膜のキズの有無、進行の度合いを調べる目的で定期検診を受けることが大切です。