目の病気

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小児眼科

Pediatric ophthalmology

※小児眼科はやはば眼科のみの診療です。

近視

■ 近視とは

近視は屈折異常の一種で、遠方から目に入ってきた光(平行光線)が網膜より前方に焦点を結んでしまう状態です。
遠くのものを見たときは網膜に焦点が合わないのでぼんやりしていますが、近くのものを見たときは焦点を合わせることができます。
眼球の長さが伸びてしまうために起こる近視(軸性近視)と、角膜や水晶体の屈折力が強すぎるために起こる近視(屈折性近視)があり、凹レンズで矯正します。

■ 近視の原因

・遺伝的な要因
親が近視の場合、子どもが近視になる可能性が比較的高く、遺伝的な要因があるといわれています。

・環境的な要因
勉強、読書、テレビ、ゲームといった近くを見る作業を長く続けているという環境も、近視に影響すると考えられています。

・病的な要因
乳幼児期のさまざまな目の病気により、発症後から進行する近視(病的近視)です。網膜剥離などの危険性が高くなります。

■ 偽近視

俗に「仮性近視」と呼ばれるもので、何らかの原因で目の中の筋肉の働き(調節)が過度に働いたままの状態になっている状態です。正視、遠視、近視のいずれでも起こる可能性がありますが、正視の人は近視に、近視の人はより強い近視に、遠視の人では遠視が弱くなりますが、いずれも見かけ上のものです。調節を一時的に休ませる目薬を点眼し、度数の変動をみることで診断します。

■ 保護者の方へ

「メガネはかけさせたくない」「メガネをかけると近視が進んでしまうのではないか」などと思われている方もありますが、見えづらいまま生活させることのほうが、子どもの目の負担は大きくなります。
眼科での定期的な検査と診断を受け、適切な時期に適切なメガネを使用することが重要です。

遠視

■ 遠視とは

遠視は屈折異常の一種で、遠方から目に入ってきた光(平行光線)が網膜より後方に焦点を結んでしまう状態です。
遠くや近くのものを見たときは、目の中の筋肉を働き(調節)によって焦点を合わせることができますが、常に目の中の筋肉を働かせないとはっきり見えないため疲れやすかったり、遠視が強すぎる場合は遠くにも近くにも焦点を合わせることができません。
眼球の長さが短いために起こる遠視(軸性遠視)と、角膜や水晶体の屈折力が弱ぎるために起こる遠視(屈折性遠視)があり、凸レンズで矯正します。

■ 遠視だと困ること

子どもは調節力が強いため、視力低下などの症状が現れないことも多くありますが、次のような症状が現れることもあります。
・疲れやすい・飽きっぽい
常に目の調節を必要とするため疲れやすく、長時間の集中ができない。
・内斜視
遠視の程度によっては、はっきり見るために調節をすると目が内側に寄り、内斜視の原因になる。
・弱視
遠視が強すぎると、調節力だけでは焦点が合わずはっきり見えないため、視力の発育が止まって弱視になることもある。

■ 遠視とメガネ

学校の検診では良い視力結果が得られるので、目には問題がないと思っている人が多いようです。
しかし、常にピント合わせの調節のために強い努力を持続しなければならないので、目が疲れやすく飽きっぽい傾向があります。
遠視のメガネには視力を矯正するだけでなく、目の筋肉の緊張をほぐして楽にものを見るという役目もあります。

■ 保護者の方へ

「メガネはかけさせたくない」「調節して見えるならメガネはいらないのでは」などと思われている方もありますが、見えづらいまま生活させることのほうが、子どもの目の負担は大きくなります。
眼科での定期的な検査と診断を受け、適切な時期に適切なメガネを使用することが重要です。

乱視

■ 乱視とは

乱視は屈折異常の一種で、遠方から目に入ってきた光(平行光線)が縦方向と横方向で焦点の合う距離が異なる状態です。
近視や遠視とは違い、遠くも近くも見えにくく目が疲れるので、”本を読まない、飽きやすい”などの様子がみられます。

■ 乱視の原因

光を屈折させる角膜と水晶体の歪みによって、目の縦方向と横方向の屈折の量が変わってきます。
眼球が均一な球体であれば乱視は生じませんが、正常な目でもわずかな歪みがあり、屈折の量が光の入ってくる方向によって均一でなくなるため乱視が生じます。
多くの乱視は近視や遠視と同様にメガネで矯正することが可能ですが、角膜の病気などが原因で起こった乱視(角膜不正乱視)はメガネで矯正することが困難です。

■ 乱視とメガネ

弱い乱視があっても全く問題にはなりませんが、中等度以上の乱視があると、個人差がありますが視力低下や眼精疲労の原因になります。
また、近視や遠視と違って網膜のどこにも焦点が合わないため、視機能の正常な発達の妨げになることもありますので、乱視が強い場合は適切なメガネでの矯正が必要です。

■ 保護者の方へ

「メガネはかけさせたくない」「メガネをかけると視力が低下してしまうのではないか」などと思われている方もありますが、見えづらいまま生活させることのほうが、子どもの目の負担は大きくなります。
眼科での定期的な検査と診断を受け、適切な時期に適切なメガネを使用することが重要です。

斜視

■ 斜視とは

斜視とは、物を見ようとする時に、両眼の視線が正しく見る目標に向かわないものをいいます。外見上は、片方の目が正しい方向を向いているのに、他の目が内側や外側、あるいは上下に向いている状態です。子どもの約2%にみられ、小児眼科の代表的な病気です

■ 斜視の原因

斜視の原因として、次のようなものがあります。
・遠視
 遠視では、はっきり見るため常にピント調節を行うことになり、同時に目が内側によってしまって斜視(調節性内斜視)になる場合があります。

・目の筋肉や神経などの異常
 目を動かす筋肉や神経に異常があると、目の位置がずれて斜視になります。

・視力不良
 片目の近視や遠視が強すぎたり、目のケガや病気で片目の視力が悪くなると両眼視ができず、視力の悪い目が斜視(外斜視)になる場合があります。

・両眼視の異常
 遺伝や脳の一部の異常が原因で両眼視がうまくできない場合、それぞれの目の視線がずれて斜視になります。

ほとんどは、遠視や目を動かす筋肉や神経の異常によるものですが、いずれの場合も、視力検査を含めて定期的な経過観察が必要です。

■ 斜視の種類

斜視は目の位置によって、内斜視、外斜視、上斜視、下斜視に分けられます。
右目を正常な位置とした斜視の種類
内斜視 左目が内側を向いている
外斜視 左目が外側を向いている
上斜視 左目が上方を向いている
下斜視 左目が下方を向いている

ぼんやりしていると現れ、しっかり物を見ていると消失するケースもあります。
常に斜視になっているものを恒常性斜視、ときどき斜視になるものを間歇性斜視といいます。

■ 偽斜視とは

赤ちゃんは鼻が低くて広く、両方の目の間が広いことに加え、内側の白目が見えないことがあり、内斜視のようにみえることがあります。これを偽斜視といいます。これは見かけ上のものであり、成長に伴って顔立ちがはっきりしてくると治りますが、本当の斜視は治療しなければ治りません。斜視の疑いがある場合は、専門医の診察を受けてください。

■ 保護者の方へ

ご家族は子どもの一番よき観察者です。また、小さい子どもは見えない世界にすぐ順応できてしまうこともあり、見えないという症状を自分から訴えることはあまりありません。
なにか気になる症状があれば、必ず眼科を受診してください。

弱視

■ 弱視とは

弱視とは、眼鏡をかけても視力が上がらない状態のことをいいます。
視力は生後間もなくから急速に発育し、生まれたばかりの時の視力は0.01程度、1歳には0.1前後、その後ゆるやかに発育し4~5歳で1.0となります。しかし乳幼児の視力の発育段階で、なんらかの理由により網膜にはっきりと像が写らなかった場合、無意識のうちにその目を使わなくり、視力の発育が止まって弱視になってしまいます。

■ 弱視の原因

弱視はものをはっきり見ることができないことで起こりますが、原因としては以下のようなものがあります。

・斜視
 斜視があると両眼視ができないため、ものが二重に見えます。脳の混乱を避けるため、斜視になっている片方の目を使わないようになり、使わない方の目が弱視(斜視弱視)になる場合があります。

・強い遠視
 強い遠視があると、近くを見るときも遠くを見るときもはっきりと見えないため、視力が発達せず弱視(屈折性弱視)になる場合があります。

・その他
 生まれつき白内障などの目の病気がある場合、あるいは乳幼児期に眼帯を長い間使用した場合、ものを見る訓練ができず弱視になる場合があります

■ 弱視は早期に発見を

目の発育に最も大切な幼児期に、ご家族のちょっとした注意で弱視が見つかることもあります。
・テレビを前の方で見る
・目を細める
・いつも頭を傾けてものを見る
・片方の目を隠すと嫌がる
など見にくそうにしている場合には注意が必要です。
また、片目がよく見える場合は弱視に気付かないこともあります。少しでも異常に気がついたときは必ず眼科を受診しましょう。

■ 保護者の方へ

弱視はご家族が注意していても分からないことがあります。特に片方の目だけが弱視の場合、気付かないことが多いようです。
弱視を早期発見して治療することが、斜視の予防にもなりますので、3歳児検診の視力検査などを必ず受けるようにしてください。

心因性視力障害

■ 心因性視力障害とは

目の心身症のひとつですが、なかでも最も頻度が高い症状は視力の低下で、心因性視力障害とよばれています。
心因性視力障害の場合、近視や遠視や乱視を矯正するメガネをかけても、メガネでは視力がでません。
検査しても眼球自体には悪い所がない、このような視力障害は小学生から中学生の女子に多くみられます。
0.4~0.6などの比較的軽い視力障害を示すことが多く、学校の定期健康診断でみつかることがあります。

■ 心因性視力障害の原因

原因はさまざまですが、学校や家庭で心の悩みを抱えている場合が多く、このストレスが視力障害の原因と考えられています。
また、友人や尊敬する先生、両親などがメガネをかけていて、メガネに憧れることがあります。このメガネ願望では裸眼では視力が悪く、度のないメガネでは1.0まで見えるものもあります。
そのほか、試験になると答案が見えない、苦手な授業になると黒板の字が読めないなど、時と場所によって見えないこともあります。

■ 保護者の方へ

必要以上に心配しすぎるのも逆効果です。適度な関心をもって暖かく見守りながら接していきましょう。心因性視力障害の子ども、はしっかりしていると評価されているものの、どこか満たされない淋しさを感じていることが少なくありません。メガネ願望についても自分に注意を引きたいというサインであることが多いようです。

逆さ睫毛

■ 逆さ睫毛とは

睫毛内反とも呼ばれ、まぶたの縁が内側に向いているために睫毛が眼球に向いている状態で、乳幼児に多くみられます。
乳幼児の顔は大人に比べて凹凸が少なく、まぶたの皮膚がまつ毛のほうに覆いかぶさるため、特に下まぶたの鼻側でよく起こります。

■ 症状と経過

睫毛が角膜や結膜に触れて刺激するため、目の充血や涙目、目やになどの症状が起こりますが、多くは成長とともに自然に治ります。
視力がすぐに問題になることはありませんが、逆さ睫毛によって傷ついた角膜や結膜が角膜炎や結膜炎になるとなると、視力が低下することがあります。

涙嚢炎

■ 新生児涙嚢炎とは

涙嚢(るいのう)と呼ばれる涙の排出経路が細菌感染などによって炎症を起こし、膿が溜まってひどい目やにが出ます。
乳児の場合、涙の排出経路の構造的な問題が原因で起こることがよくあります。
特に、排出経路が生まれつき塞がってしまう先天性鼻涙管閉塞症では、涙がうまく流れないために細菌感染や炎症を起こしやすく、常に涙っぽくひどい目やにが出ます。これを新生児涙嚢炎と呼びます。

■ 新生児涙嚢炎の症状と診断

多くの場合、生まれて間もなくから目やにが多く、いつも涙っぽいような状態が続きます。
このような場合、涙の排出経路に生理食塩水を注入し、鼻の奥に通過することを確認しますが、生理食塩水が逆流する場合は鼻涙管閉塞症であると診断され、さらに逆流の中に膿が多い場合は、涙嚢炎も合併していると診断されます。

■ 新生児涙嚢炎の治療

涙の排出経路への生理食塩水の注入を頻回に繰り返し、必要であれば抗生物質の点眼と涙嚢マッサージで治療します。 月齢にもよりますが、治療後も目やにが続くようであれば排出経路の開放術などを行います。